内容
学生フォーミュラは、学生自身がレーシングカーを設計・製作・チューニング・競技まで全て行うスポーツです。まさに「学生版F1」と言える学生フォーミュラですが、このような「レーシングチームの運営」をするためにはお金がかかります。また、学生の手では作ることの出来ない部品もたくさん存在します。そのような問題を解決するために、学生自身が企業などと交渉を行い、金銭的・物的支援を行ってもらいます。
また、このような交渉活動をフォローするため、あるいは1年というスパンで効率よく活動を進めていくために、チーム運営に携わる事務的なセクションも重要になります。例えば、企業等へのアピールを行う広報、支援していただいたものなどを管理する資材管理、年間で百万単位の資金が必要となるこの活動を支える会計といったものです。
このような、設計・製作という工学的なセクションとともに事務的なセクションの優劣も重要になるのが学生フォーミュラの特徴です。
学生フォーミュラの目的
学生フォーミュラの目的は、ただ大会に出場して勝つということだけにとどまりません。
学生フォーミュラはアメリカの「Formula SAE」という大会が発祥です。「SAE International」という組織が主催して、『ものづくりによる実践的な学生教育プログラム』を設立の意義として始まったものです。
そのため、”このFormula SAEを日本でも”ということで始まった「全日本学生フォーミュラ大会」においてもこの意義は受け継がれており、学生フォーミュラに参加する学生には、「ものづくりの技術を養い、将来的には産業界で活躍する人材になる」ということが求められています。
大会の概要
先述のように、学生フォーミュラでは活動の成果を発表する場である大会が行われています。この大会は、1981年にFormula SAEとしてアメリカで行われたのが始まりです。その後、世界各地で行われるようになり、日本では2003年から「全日本学生フォーミュラ大会」の名で毎年大会が開かれています。
大会では4つの動的競技と3つの静的審査が行われます。
動的競技では学生自らが製作したレーシングカーでタイムを競います。一方、静的審査は「ものづくりを総合的に競う」という観点から行われるもので、クルマを開発する上で避けては通れない企画・設計・コストの要素を高いレベルで盛り込めているかが審査されます。
なお、これらの競技・審査はアメリカ大会の主催者であるSAE Internationalが発表するレギュレーションに基づいて実施されています。そのため、世界どこの大会であってもほとんど同じ形で競技が行われており、外国大会への参加も容易にできます。
実際に、日本大会にも海外チームは参戦していますし、海外大会に参戦している日本のチームも存在します。
主なルール
ルールはSAE Internationalによって発表されるレギュレーションで定められています。当然ながらこのレギュレーションを満たさないクルマは大会に参加することができません。
しかし、車体フレームとエンジンに関する制約を必要最小限にする事により、学生の知識や独創性、構想力といったものが最大限に発揮できるよう配慮されています。
主な設計要件としては、
- タイヤがカウルで覆われてなく、コックピットがオープンなフォーミュラスタイルの4輪車両であること。
- 4サイクルピストンエンジンで排気量610cc以下。オリジナル設計の加給器の装着は可。リストリクター(吸気制限装置)の最大直径は20mm。
- ホイールベース1525mm以上。トレッドは、フロント又はリアの大きい方に対して75%以上。ホイールは8インチ以上。
- 排気音量は、排気口から水平面45度、50cmの位置で110dB以下(所定の回転数)。
※全日本学生フォーミュラ大会公式サイトより転載
のような点が挙げられます。その他にも、レギュレーションでは安全に関する規定や大会での競技に関する規定などが定められています。