直径1500mmの中の設計

星野です

YNFP-16でシャシー班リーダーを務めておりました。ダイナミックエリアでミラーレンズのサングラスに白いきったない手袋をしていた奴は私です。

前述のとおりシャシーでは"走行中"には大きなトラブルは起きませんでした。これには、しっかりと製作してくれた仲間たちに頭を下げざるを得ません。本当にありがとうございます。

そう、あくまでも"走行中"であって走行前、正しくは"設計"、"搭載"において、大きな難がありました。僕はハブ、アップライト(ナックルアーム)の担当なのでそこで起きたことについて記しておきます。

①干渉回避
僕の仕事は端的に言うと「直径1500mmのホイールハウスの中に部品を収めること。」これがとても大変。隙間ってのはあればいいと思っていました。設計の結果ホイール-キャリパー間=0.05mm!!とか余裕でありました。やっとこさ5mmくらい設けるわけです。走らせると何かと干渉します。犯人は「ホイールバラスト」・・ほいーるばらすと??
原因「CAD上にないものが実際にある」・・・いや、知らねえし怒

それ以降、タイヤフィッター様のはからいで干渉しない部分に貼ってもらいました。


②干渉回避part2
設計2年目。どうも、ホイールの中の寸法が違う気がする。どう頑張ってもキャリパーとかが傷つく・・。

原因「BRAIDホイールの断面がテーパー状」・・・いや、知らねえし怒

みなさんの身の回りにある工業製品にも不自然な出っ張りや凹みがある物がよく見るとあります。そういうのを見つける度に「ああ、辛かったんだろうなあ」とか思うわけです。

③圧入式
今年の設計は高温の熱膨張にも耐えうるようJIS規格ではなく、独自で公差を計算し製作してもらいました。なので、基本的にかなり"きつめ"でした。アルマイトも終わり、さあ圧入・・

「べコ!ガガッガガッ、、ドガガガ!」


よし、一旦休憩!
明らかにアップライトが悲鳴を上げておりました。きつすぎました。時は午前0時。何とかせねばならんのでとりあえず熱膨張率を利用して沸騰したお湯にアップライトを浸し、再度挑戦。

「ガガッガガガガッガガガガガガガ、、、、、」

目の前でアップライトが破裂するんじゃないかと思いました。何とか圧入完了しましたけど、、、、!

④回らない
原因は0.3秒で分かりました。そこは突貫工事で3日くらいで変更した箇所。いわば凡ミス。。。でも認めたくなかった。そこにとどめを刺す某デブ。

「ベアリングってさあ、外輪が止まってて内輪だけ動くわけじゃん?外輪と内輪のどっちも接触するスペーサかましたら動かないに決まってるじゃん?☆」・・・いや、知ってるし怒

時は午前2時30分。残って手伝ってくれていた後輩にリューターで内側を削ってもらい何とか"回る"アップライトAssyが完成しました。


➄転舵できない
Assy完了したので、もちろんマシン搭載です。難なく搭載完了し、気まぐれに転舵・・・・

「転舵が出来ねえ。。。」

これも原因は0.3秒で分かりました。やはり認めたくなかった。なぜなら、誰も悪くないから。

原因「CAD上では再現できていない溶接ビード部による干渉」

・・・いや、分かったけど知らねえし怒

午前3時。もうこれ以上どうにもならんので終了。後日、製作担当に「できるだけCADを忠実に再現してくれ」という無茶苦茶なお願いをして搭載しました。本当にありがとう!!!

よく他大学さんから「10inのホイールにして大変なことはありました?」と尋ねられます。本っ当に大変です。今後輩に引継ぎをしていますが、よく自分でもこんなことできたなとか思います。

14、15とアップライト関係で走行時間が減ることが多々ありました。もう走れないんじゃないかとか思ったこともありました。それは自分の設計していない頃のことでした。自分の表に出さない目標として「走行時間の確保と信頼性」という目標を掲げていたので、その目標はシャシーにおいて達成できたのかなとは思います。

2年半通して楽しかったですよ。何が楽しいかって、やっぱ「失敗したとき」や「トラブったとき」なんですよね。失敗して全力で解決しにかかる瞬間、その時は辛かったです。でも後になって時間を忘れてたあの時が一番楽しかったのかなあとか思います。

人、物、車に感謝の意を込めて「ありがとうございました」

明日の日記は、コスト担当??の佐藤さんです。